恋に恋する呑べえ

愛さえあれば何も要らないなんて、

なんかずっと、止まっている時計がある

 

 

 

 

 

 

「また、メンバーの演技仕事が決まった。」

 

 

 

 

 

 

 

私がこの言葉を発した時、これを読んだ人はこの言葉の言外にどんな感情が込められていると感じるだろう。

 

まあ当然ながら、心の底から「おめでとう」とはもう思えない。真っ黒な、到底言葉にすべきではない間違った感情が次から次へと湧き出てきて、そんな自分が嫌で、余計に苦しくなる。結果、泣く。何度も泣く。この涙の中に嬉し涙は1ミリリットルだって含まれちゃいない。もう本当に、そんな自分が嫌で仕方ない。

 

 

 

 

「岸くんの演技が好き」

 

 

という言葉を、なんの他意もなく、純粋に、笑顔で話せたのはもう随分と昔な気がする。

 

 

 

役の為に慣れない髪色に染めて少し照れ臭そうに笑うその顔が好き。台本にギッシリと書き詰められた不恰好な文字が好き。知り合いのメイキングカメラさんの前で肩の力を抜いてふざける姿が好き。クランクアップで必死に涙を堪えようとする真っ赤な顔が好き。

そういう、岸くんの演技の副産物みたいなものも全部大好き。

 

 

こうして、ただ好きなものの話をしているだけなのに、心臓がギューっと握り潰されるような苦しさを伴うようになってしまって長い時間が経つけれど、一向に慣れることはないし、むしろその痛みは時間の経過に比例するように強いものになっている。

 

 

 

3年半前の自分に今の状況を伝えたら、「Princeはデビューしてないってこと?」と聞かれてしまいそうだ。そんな事を聞かれたら死んだふりをするしかない。

 

 

 

幾つかある時計の中のかなり大きなものがデビューと共に止まってしまっている。

その時計がまた動き出す事を諦めて去っていってしまった人が沢山いる。次は自分の番なのかとさえ思う。岸くんのことは大好きなのに、今動いている時計だけを見て手放しに喜ぶことができなくなってしまった。今動いている時計が進むほどに、あの時に止まった時計の針が逆戻りしているような感覚にさえ陥る。

もう、どうしたらいいんだろう。

 

 

 

岸くんを好きでいると、すごく楽しいし、すごく面白いし、すごく幸せだし、すごく苦しい。

 

 

いつか、岸くんに主演映画が決まって、玄樹くんが帰ってきて、KINGと Princeを分けるような考え方の基に何かを嘆くことなんてなくなって、彼らが彼らを支える人達からの寵愛を受けていると実感できる、そんな日が来るといいな。

 

 

 

…来るかな?